BCIN - NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

VOICE 患者の声

マンモグラフィで正常と言われた2ヶ月後に浸潤性ガンと診断 Y.Tさん(53歳 アメリカ在住) 53歳の日本人女性。2016年4月超音波検査で異常が見つかり、5月に腫瘍摘出手術を受ける。生検の結果、直径1センチの浸潤性乳管がん、リンパ節転移2箇所。ステージ2。5月からAC療法の抗癌剤治療、10月から放射線治療。40歳から毎年マンモグラフィを受診し「異常なし」と言われていた。

乳がん検診は40歳から毎年「異常なし」

私は、母が2回乳がんを患っていることから、乳がんについては、気をつけていたつもりでした。40歳からは毎年マンモグラフィを受けていました。そしてずっとマンモグラフィでは「異常なし」と言われてきました。

マンモグラフィ異常なしから2ヶ月後、ステージ2の乳がんと診断される

2016年3月、に例年通りマンモグラフィの検査に行ったとき、検査技師がうまく写真が取れたかどうかスクリーンで確認していたので、私も一緒にスクリーンを覗いて見ました。すると、何か白い丸いものを見たような気がしたのです。「あの、白いのは何ですか?」と技師に質問しましたが技師は、「その判断は専門の医師がしますので。」と言って答えませんでした。3日後、かかりつけの婦人科の医者から自動メールでいつもの、「マンモグラフィ異常なし、1年後のマンモグラフィを薦めます。」の通知をもらいました。マンモグラフィ検査のときのあの白い丸が気になっていたので、そのメールをもらってほっとしたのと同時に、「じゃああれはなんだったんだろう?」の疑問が浮かびました。そこで、婦人科の医師に問い合わせてみたら、「マンモグラフィは異常なしとマンモグラフィセンターから連絡がありましたよ。」と同じ答え。しかし、少し話していると、医師が「あなたは、デンスブレストだから、マンモグラフィの精度は高くないのよねえ。」と言い出しました。「精度の高くない検査をして、どうして異常なしとわかるのですか。」とさらに問いただすと、「あなたが心配なら、超音波もやってみますか。」と言うのです。この時、「異常なしって言ってるのに、しつこい患者だわ。」とでも言いたそうな対応でした。超音波検査で疑問が晴れるなら、と思って超音波検査を受けてみたら、すぐに9ミリの腫瘍があり、その腫瘍の細胞壁の様子がおかしいので、細胞検査を薦められました。細胞検査の結果、浸潤性のがんとわかり、2週間後に腫瘍摘出とリンパ節摘出をしました。切り取った腫瘍とリンパ節を生体検査したところ、リンパ節2箇所にがんが発見され、ステージ2といわれました。
3月に「マンモグラフィ異常なし」から、2ヶ月後の、5月には、ステージ2の乳がんの診断です。私は強いショックを受けました。

私はデンスブレストであることをずっと知らなかった。

そこで過去4年間のマンモグラフィの詳細な報告書を取り寄せてみたところ、私は「高濃度乳房」(Extremely dense breast)であることが初めてわかりました。しかし、このことは、今まで医師から一切説明されず、またマンモグラフィ以外のテストは一切勧められませんでした。私の母も乳がんを患い、私は乳がんのハイリスクがあるにも関わらずです。

デンスブレストの人は、 超音波検査など他の検査が必要

超音波で簡単に見つけられたがんが、マンモグラフィでは「異常なし」だったのです。もし、今までも超音波検査を受けていれば、もう1年早くがんがみつかったかもしれません。もっと早く見つかっていれば リンパ節に転移する前に処置できたかもしれません。リンパ節に転移したということは、大きなリスクが体中に広がっているということです。これから抗癌剤治療をしますが、抗癌剤をしても再発の確率は20~30%あります。そして再発がんは、初めてのがんよりずっと強いのです。

デンスブレストで、 家族が乳がんだった私に、医師はマンモグラフィ以外の検査を薦めるべきではなかったか。

私のガンが リンパ腺に達するまで発見できなかったことは、医師が私に「デンスブレスト」であることを伝えなかったこと、超音波のテストをもっと早く薦めなかったことに原因があると思います。

こういうことはあってはなりません。アメリカでは、医師が「デンスブレスト」であることを患者に伝えることを義務付けようという法整備が21の州ですすんでいます。残念なことに私の住んでいるイリノイ州では、法案が提出されていますが、まだ法令になっていません。私のかかっていた婦人科の医師も、「その法律が提出されたのは知っているけど、まだ通ってないから、デンスブレストのことを伝えなかったのは、違法ではない。」と自分には一切責任がないと言っています。罰則がないと、動けないのでしょうか。 デンスブレストで、家族に乳がんの人がいてハイリスクなら超音波検査もうけることを薦めることが、そんなに大変なことなのでしょうか。どうしてそんな簡単なことができないのでしょうか。そんな簡単なことが、私の今後の人生には、とても大きな影響を与えるのです。このことは、医者に、是非知ってほしいことです。

「デンスブレストの人はたくさんいる。その人たち全部に超音波など他の検査はできない」、という医師に。

ある医師は、デンスブレストの人は多いから、その人全部に超音波などの検査をすることは現実的にできない、デンスブレストの人はマンモグラフィでがんがみつかりにくいと言うと患者内にパニックを起こすだけだ、という人がいました。それは現場の意見としてあると思います。でも、その人がそのほかの乳がんのリスクを持っているかどうかも検討してから超音波の検査などを薦めることもできますし、患者がパニックにならないよう、デンスブレストについて正しく知識を伝えればいいと思います。それは伝え方の問題です。デンスブレストである事実を隠す必要はないと思います。

自分がデンスブレストかどうか、医師に聞きましょう。

医者が教えてくれないのなら、患者が積極的に確認するしかありません。私は今、家族や友達に「あなたはデンスブレストではない?」「今までのマンモグラフィの異常なし通知は、信用できる?」と聞いてまわっています。今にも私と同じように突然乳がんステージ2とか3とか言われる人が出てくるのではないかと心配だからです。医師の手元には、過去のマンモグラフィの結果があるはずです。新たな検査をすることなどなく、それを見るだけでデンスブレストかどうかわかるのです。皆さん、自分がデンスブレストかどうか、今すぐにでも確かめてください!
  • @npo.bcin