BCIN - NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

VOICE 患者の声

マンモグラフィ検診異常なしで、乳がんが発見された日本女性の体験談 ~風間 沙織さんのケース~ 風間 沙織さん(会社員・51歳) 20年弱の間、企業検診でマンモグラフィ検査を毎年受診。「異常なし」の5か月後、お風呂上りに自分でしこりに触れる。すぐに乳腺クリニックを受診。その後、乳がんを告知される。2014年5月、左乳腺全摘、および一期再建の手術を受ける。病理結果は、1.5センチの浸潤性充実腺管がん、リンパ節転移なし、ステージⅠ。

はじめに

私の乳がんは、20年近く、毎年受けていたマンモグラフィには写りませんでした。
が、幸いにも妹の乳がんをきっかけに、自己触診で見つけることができました。
しかし、だれもがこんなきっかけを得られるわけではありません。
マンモグラフィ検査結果の「異常なし」は、誰にとっても“疑う余地のないもの”です。異常がないと結果が出れば、安心してしまうでしょう。
本当は「異常があるかないか“わからない”」という結果であるにもかかわらず。
“高濃度乳房”というものがあり、それは年齢に左右されるものではないということ、さらにアメリカ人より日本人の方がその割合が高いと聞き、一人でも多くの人にこの情報を伝えたいと思った次第です。

「マンモだけで安心ではない」ことを知ってほしい!

私は企業で働くサラリーマンです。
毎年9月頃に従業員健康診断を受診しており、その時に乳がん検診も受けていました。会社が契約している健診はマンモグラフィか超音波のいずれか一方を無料で受診できるというものです。予約の際に選択ができるのですが、なんとなくマンモグラフィの方が詳しい検査のような気がして、これまでの20年弱の間、マンモグラフィばかり選んでいました。
2013年9月25日に例年にならってマンモグラフィ検査を受けました。結果は“異常なし”。「右に石灰化」と書かれていましたが、気にするものではないとの説明でした。
実は、母が25年ほど前に乳がんを罹患しており、もしかしたらいつか私もなるかもしれないという思いから、乳がん検査は毎年受けなければならないと思っていました。
そして、検査結果の「異常なし」の文字を見るたびに「今年もクリア!」と少しホッとしていたのです。ですので、2013年の検査結果で「今年もクリア!」だったはずなのでした。
この検査から、5か月後の2014年2月21日、妹から唐突に「乳がんが見つかった、それも両方」とメールが来ました。とてつもなく驚きました。
妹は、ここ何年も乳がん検診を受けていなかったそうです。そのことにも驚きました。驚き、心配もしましたが、母という乳がんの先輩がいましたので、悲観するといった気持ちはありませんでした。母は、右乳房全摘、およびリンパ節廓清、その後、無治療で今もとても元気だからです。
 その夜お風呂に入りながら、5か月前にマンモグラフィを撮っているから、しこりなんかあるはずない、と思いながら、念のためと思い、両胸を丁寧に探ってみました。触れるものは何もなく、「ほらね!」といった気楽な気分でお風呂から上がり、いつものようにボディーローションで全身を保湿。
なぜか、たまたまローションを出しすぎてしまい、手のひらに沢山余っていて、「もったいないから今日は胸にたくさんつけちゃおう」と左胸を下からグッと押しながらなで上げてみたら、「コツン」。飴玉のような何かが触れたのです。もう一度触ってみると、やはり「コツン」。寝て触ってみたら違うかもと思い、あお向けになって触ってみてもやはり「コツン」。
妹のことで驚きすぎたせいか、ショックとか動揺といったことは全くなく、韓国ドラマだってこんなベタなストーリーにはしないよな、と変な感想を持ち、なんだか少しおかしな気分になりました。
そこからは、せっかちな性分なもので、一刻も早く白黒つけたくなり、ネットで一番早く予約できる乳腺クリニックを捜し、翌週に予約を入れ、表参道のクリニックでマンモグラフィと超音波を撮り、画像を見ながら説明を受けました。
マンモグラフィの画像は、真っ白なもやもやしたものが沢山あるといった感じで、目を凝らしてみてもよくわかりません。まるで天気予報でよく見る雲の様子のようでした。医師も「マンモグラフィの画像ではよくわからない。だけど、超音波の方には気になるものがはっきり写っている」と。
後日、針生検を受け、がんであることがわかり、がん研を紹介してもらい5月に左乳腺全摘、および一期再建の手術を受けました。
病理の結果は、1.5センチの浸潤性充実腺管がん、リンパ節転移なし、ステージⅠでした。その後、9月から4クールの化学療法を終え、今は髪もすっかり生えそろい、楽しく充実した日々を過ごしています。
 今年も、健康診断の予約を9月に取りました。今は、がん研で定期検査があるので、乳がん検診は受けませんが、もしも、妹の乳がんが見つかっていなければ、おそらくいまだに自分でしこりを見つけることはなかったでしょうし、何の疑いもなく、毎年マンモグラフィを選択し、そして白いもやもやの中に隠れて、がんはどんどん大きくなっていたことでしょう。
私は、この経験を会社の同僚や後輩、友人らに積極的に話し、マンモグラフィと超音波を毎年交互に受けることをすすめています。
また、入院時に同室だった方は超音波では写らず、マンモグラフィで分かったという話も足すことで、交互の検査を受診する必要性を強く伝えることができているようです。
でも、「なぜマンモグラフィに写らなかったのか?」という疑問はもったままでした。そんな時「Are You Dense?」を知ったのです
若い人は乳腺がたくさんあるので、マンモグラフィでは写りにくい、という話を聞いたことがありました。
しかし、“高濃度乳房”というものがあり、それは年齢に左右されるものではないということを知り、さらにアメリカ人より日本人の方がその割合が高いと聞き、一人でも多くの人にこの情報を伝えたいと思った次第です。
私のがんは、20年近くマンモグラフィには写りませんでしたが、幸いにも妹の乳がんをきっかけに見つけることができました。
しかしながら、だれもがこんなきっかけを得ることができるわけではありません。マンモグラフィ検査結果の「異常なし」は、誰にとっても疑う余地のないものなのですから、異常がないと安心して終わっているでしょう。
本当は「異常があるかないかわからない」という結果であるにもかかわらず。
乳がんは、ほかのがんに比べ5年、10年生存率が高く、治療の研究も進んでいます。だからこそ、検診による早期発見は大切です。
でも「マンモで安心ではない」ことを知ってほしい、自身のおっぱいの中(乳腺)がどんなふうになっているのか正しく理解し、より適切な検査を受けてほしい、と心から思っています。
  • @npo.bcin